ホーム >> 宇宙生物学
宇宙生物学
重力に影響される植物の成長と運動
回旋運動
アサガオやウリ科植物などが見せるつるを支柱に巻きつけながら伸張させる「つる巻き」のような、茎や根の先端がらせん状に回転しながら伸びる運動のことを回旋運動と呼ぶ。 回旋運動には重力感受細胞である内皮を必要とするが、内皮細胞を作るのに必須のSCARECROW遺伝子が働かないと、アサガオなどは重力を感受できずに回旋運動もつるを巻くこともできなくなる。 回旋運動とつる巻きが重力依存的な現象であることを意味するが、つる植物の宇宙の無重力環境で回旋運動をするのか、支柱に巻き付くかどうかは現在研究中である。
ウリ科植物のペグ形成
ウリ科植物の発芽直後に根と茎の境界域に形成される突起状の組織であるペグは、根は下へ茎は上へと伸ばす重力屈性に逆らい種皮を土の中に押さえつける。 これによって芽生えは種皮から抜け出す。 地上では、ウリ科植物の種を上下逆さまになるように置いてもペグは必ず下方向にでるので、重力によって制御されていると考えられていたが、キュウリの種子を宇宙で発芽させても2個ペグができたので、ペグ形成には重力を必要しないことがわかった。 もともとキュウリの芽生えは2個のペグを発達させる能力を持つが、地上では重力に応答し、横たえられた芽生えの上側になった部位のペグ形成を抑制しているといえる。 この抑制にもオーキシンが関係している。
-
宇宙での植物栽培
NASAでは、シロイヌナズナの発芽前の種子を月面の植物栽培モジュールの中で発芽させ、遺伝子発現をモニターすることで、植物が低重力や温度、圧力や高放射線にどう対処するかを観察する実験を計画・進行している。 シロイヌナズナの発芽・成長は、バイオマーカーとしての緑色蛍光タンパク質(GFP)をシロイヌナズナに発現させて、488nmの光で観察することで確認する。 モデル植物のシロイヌナズナはGFPマーキングが簡単にできる上に、火星の気圧に近い10キロパスカルの気圧でも成長できるので、研究材料として選ばれた。 さらに、モジュールに月の土を加えて土の毒性や含有物を調べる実験も考えられている。
細胞
宇宙環境下における細胞は地上での実験では見られない挙動を示す。 原生動物や哺乳類培養細胞などの様々な細胞に及ぼす宇宙飛行の影響は多く報告されておりいる。 細胞は重力を感受することができ、無重力に対する反応は個々の細胞で異なることもわかっている。 例えばサリュート6号で行われた、ヒメゾウリムシの実験では、無重力下では細胞増殖が促進されることがわかっている。
-
宇宙生物学の課題
広義の「宇宙生物学」が指す取り組むべき課題としては
生命の起源と進化
地球外生命の探査、地球外文明との交信
地球生物の地球外への移住
の3点が挙げられる。
生命の起源と進化
生命の起源は生物化学分野での一課題としても取り上げられるが、宇宙生物学では、生命は宇宙と深い係りのもとに進化したと定義し、より広く普遍的な概念を構築しようとするものである。
地球外生命の探査、地球外文明との交信
生命の探査は既に地球外有機物の探索が主となっている。 1960年代以降の宇宙探査により、太陽系内に地球外生命および地球外文明が存在する可能性はほぼ否定された。 しかし有機物の探査を行うことで、太陽系外生命の存在に推測の根拠を与える事になると期待されている。 他方、太陽系外の惑星系への探査は現在の人類の技術力では困難であり、先方から信号を送ってくるかもしれないとの期待のもと、地球外文明との交信のためのさまざまな試み(SETI)がなされている。 アメリカ合衆国の天文学者フランク・ドレイクが提唱した地球外生命体がどれほど存在するかの方程式(ドレイクの方程式)を用いて大島泰郎は、「銀河系には100年に1度、我々と同程度の文明が誕生しており、総数では1000万個ほどであり、そのうち人類の存続期間と重なっている文明は10万個程度であろう」と推測している。
-
火星の植民
火星の植民(かせいのしょくみん)とは人類が火星へ移住し、火星の環境の中で生活基盤を形成すること。 宇宙移民の構想の一つ。
火星へ植民が可能かどうかは、デタラメな憶測からまじめな研究まで、多くの話題を集めてきた。
行程
火星はエネルギー(速度変更)という点では地球から向かうのが最も簡単な惑星である。 化学燃料ロケットを使っている限り、火星への旅には数ヶ月の期間が必要だが、比推力可変型電磁プラズマロケット (VASIMR)[1]や原子力ロケットなどが実現すれば、2週間程度まで短縮することができる。
地球との類似点
地球のすぐ内側を公転する金星は、その質量や半径などの点では地球によく似た惑星である。 しかしサイズ的には地球よりかなり小さい火星の方が、人類移住の候補として注目を浴びている。 これには次のような理由がある。
火星の1日(火星日またはsol)は地球の1日に非常に近い。 火星の太陽日は24時間39分35.244秒である。
火星の表面積は地球の28.4%で、地球の陸地(地球表面積の29.2%)と比べてわずかに少ない程度である。
火星の赤道傾斜角は25.19°で地球の23.44°に近い。 そのため、火星の季節は地球とよく似ている。 ただし、火星の1年は地球の1.88年相当であるため、各季節は2倍近い期間続く。 火星の天の北極は小熊座ではなく白鳥座である。
火星は大気を持つ。 地球大気の0.7%と薄いものだが、多少なりとも太陽放射や宇宙線を和らげる上、宇宙船が空力ブレーキを使うのに利用することもできる。
NASAのマーズ・エクスプロレーション・ローバーやフェニックス、ESAのマーズ・エクスプレスなどによる21世紀初頭の観測は、火星に水が存在するという主張を裏付けるものとなった。 火星には地球型の生命を支えるのに必要な元素がかなりの量存在している可能性が高い。
-
地球との相違点
地球と火星の間には、当然違いもある。
火星の表面重力は地球の1/3にすぎない。 この重力下で低重力での健康上の問題が発生しないかどうかはよく分かっていない。
火星は地球と比べて非常に寒く、平均表面温度は-63℃で、最低温度は-140℃である。
火星表面に液体の水の存在は確認されていない。
火星は太陽から遠いため、表面に届く太陽のエネルギーの量(太陽定数)は、地球や月に届く量の半分程度でしかない。
火星の軌道は地球のそれよりも潰れた楕円であるため、太陽との距離の変化が大きく、温度や太陽定数の変化を激化させる。
火星の気圧は、人間が与圧服無しで生存するには低過ぎる。 従って、火星表面に作る居住施設は宇宙船のように与圧式にする必要がある。
火星の大気は薄いが主成分は二酸化炭素であるため、火星表面でのCO2の分圧は地球の52倍にもなる。 (もっとも、このため火星上で植物は生育可能かもしれない。 )
火星は二つの衛星、フォボスとダイモスを持っている。 フォボスとダイモスは地球の月と比べてはるかに小さく距離も惑星に近い。 これらの衛星を小惑星の植民の実験場として活用することも考えられている。
火星の磁気圏はとても弱く、太陽風を防ぐのに十分ではない。
こんど不倫旅行を計画してみたい。
不倫旅行ならどこに行くのがいいのだろうか。
|