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代替の恒星系
地球外生命の可能性を考える上で、私達の太陽に似た恒星に長らく関心が向けられてきた。 しかし最近では、私達とはとても似ていない恒星系で生命が誕生する可能性が検討されるようになっている。
連星系
代表的な見積もりでは、全ての恒星の50%かそれ以上が連星であると示唆している。 だがこれは、大質量で明るい星ほど連星となりやすいという傾向があり、そして明るい星はより簡単に観測・分類されることから、サンプルに偏りがあるかもしれない。 より正確な分析では、通常はもっと多くのありふれた、低質量の星が単体で存在していると考えられており、したがって全ての恒星系の2/3以上は単独だとしている。
連星を構成する二つの恒星の間隔は、1AU(天文単位、地球 - 太陽間の距離)以下から数百AUまでの広い範囲に及ぶ。 後者の例では、その恒星を回る惑星への重力の影響は、単独で存在する"適切な恒星"を回る惑星と同じく取るに足らないだろうし、その軌道が極めて極端(例としてはネメシスを参照)でもない限り居住可能性を妨げることも無いだろう。 しかしながら、間隔が著しく短い場合、安定した軌道は不可能となるかもしれない。 もし惑星とその惑星が回る恒星までの距離が、連星を構成する他の恒星に最接近した時の距離の1/5よりも大きい場合、その軌道の安定は保証できない。 連星の重力は惑星の形成を妨げるかもしれないことから、惑星が形成されるかどうかも長い間判っていなかった。 カーネギー研究所のアラン・ボスによる理論は、単独の恒星の場合と同じように、連星系の恒星の周囲にも巨大ガス惑星が形成できることを示した。
太陽に最も近い恒星系アルファ・ケンタウリは、居住可能な惑星を探す際、連星をその対象から外す必要は無いという事実を示している。 ケンタウリAとBには最接近時で11AUの距離があり(平均は23AU)、それぞれが安定したハビタブルゾーンを持つと考えるべきである。 シミュレーションによるこの系の中で惑星が長期間安定する軌道の研究では、惑星はどちらかの恒星から約3AUの位置なら安定して残る可能性が示された(すなわち、軌道長半径の逸脱は5%以下)。 ケンタウリAのHZは控えめな見方では1.2〜1.3AUで、ケンタウリBは0.73〜0.74AUだと見積もられる。 居住可能性を満たすためには、これらの軌道とHZ双方の条件で安定した領域でなければならない 。
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赤色矮星系
赤色矮星は銀河の恒星の70%〜90%を占めると考えられており(一般に質量の小さい恒星ほどその数は多い)、その居住可能性が確定することは、宇宙の中でどれだけ生命がありふれているのかを確定する助けとなるだろう。 褐色矮星はおそらく赤色矮星よりはるかに多く存在する。 しかし、それらは一般的に恒星とは分類されず、核融合を継続できないため低温で放射も急速に失われてしまう。 そのため、生命を支えることはとてもできない。
天文学者は長年、赤色矮星系に生命が住む可能性は無いとしていた。 赤色矮星は小さく(太陽質量の0.1倍〜0.6倍)、それはその核反応が極めてゆっくりと進み、とても少ない光(太陽の3%から、最小のものでは0.01%)しか放射しないことを意味している。 赤色矮星の軌道を回る惑星が地球のような表面温度を得るには主星のとても近くになければならないだろう。 その距離は、ラカーユ8760のような比較的大きなものでは0.3AU(水星の軌道のちょうど内側)で、最小クラスのプロキシマ・ケンタウリのような星では0.032AUとなる(この軌道を回る惑星の1年は6.3日にしかならない)。 それらの距離では、恒星の重力により自転と公転の同期が引き起こされるだろう。 惑星の日の当たる側は永遠に恒星に面し、夜の側は常にそれ以外を向いている。 生命の可能性にとって唯一考えられるのは、惑星が恒星からの熱を日の当たる側から夜の側に伝えるのに十分な厚い大気を持っていた場合の、灼熱も凍結も避けられる場所である。 長い間、そのような厚い大気では地表に日光が到達せず、光合成が妨げられると考えられていた。
この悲観論は、新たな研究により緩和されつつある。 アメリカ航空宇宙局 (NASA) エイムズ研究センターのRobert Haberleとマノイ・ジョーシによる研究では、惑星の大気(温室効果ガスにCO2とH2Oを仮定)が100mbar(地球大気の10%)だけあれば、恒星の熱を効果的に夜の側に運べることを示した。 これは光合成に必要な水準の中にある、とはいえこのモデルでは、水はまだ夜の側に凍って残ったままだと思われた。 グリニッジ・コミュニティ・カレッジのMartin Heathは、もし海洋が十分な深さを持ち、夜の側の氷の下を自由に流れることができれば、水の海が固く凍らず効果的に循環できることも示した。 さらに研究では、活発な放射による光合成の量を考慮に含めて、赤色矮星系の自転と公転が同期した惑星は、少なくとも高等植物とっては居住できる環境かもしれないことが示された。
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しかしながら、その大きさだけが赤色矮星は潜在的に生命に不適当である、とされた要因ではない。
このような赤色矮星の惑星では、夜の側は決して太陽を見ることができず、そちらの面での光合成は不可能だろう。 日の当たる側でも、太陽は昇りも沈みもしないため、山の陰となる領域は永遠にそのままだろう。 知られている限り、赤色矮星の生み出す放射のほとんどは赤外線であるという点も、光合成を考える上で複雑な箇所だろう。 地球上では光合成のプロセスは可視光に依存している。 だが、このシナリオには潜在的にプラスとなるものがある。 例えば、多数の地球の生態系は光合成よりも、赤色矮星系でも可能であるだろう化学合成に依存している。 また、主星が静止した位置にあることは、植物が日陰/日向の変化により太陽の方向へ葉を向けたり、光合成で夜間のエネルギーを蓄えたりする必要を取り除く。 朝晩の弱い光も含めた昼夜のサイクルが無いことから、与えられた放射のうち、遥かに多くのエネルギーが利用できるだろう。
赤色矮星は、より安定した大きな星々よりも、はるかに激しく変化しやすい(大部分の赤色矮星は変光星の一種であるフレア星に属すると考えられている)。 しばしば数ヶ月に渡り光量が40%まで薄暗くなるほどの黒点に覆われ、また別の時には数分間に渡り明るさが倍になるほどの巨大なフレアを放射する。 そのような変化は生命にとても多くのダメージを与えるだろう。 けれども、突然変異率の増加や気候条件の急激な変化により、進化への刺激となるかもしれない。 一方で、強いフレアは大気に厚いオゾン層をもたらし、生命に対するフレアの影響を減少させるという考え方もある。
とはいえ、赤色矮星は生命が住む場所として、他の恒星を超える一つの大きな利点も持つ。 長い間存在し続けることである。 人類が地球に現れるまで45億年がかかり、生命は知られている限り、少なくとも地球形成から5億年以上経ってから見られるようになった。 赤色矮星は他の星と異なり、大きな恒星と比べて核反応が遥かに遅いため、数兆年もの間存在することができる。 これは生命がより長期間発展し、より長期間生き残ることを意味する。 さらに、どこか特定の赤色矮星の周りのハビタブルゾーンで惑星が見つかる確率はほんの僅かだとしても、その数の多さから、全ての赤色矮星のHZを合計した量は、全ての太陽のような恒星のHZを合計した量に匹敵する。 地球に近い質量の惑星(スーパーアース)であるグリーゼ581dは、楕円軌道で公転しているが、近星点付近ではハビタブルゾーンを通過している。
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その他の考慮すべき点
グッド・ジュピター
グッド・ジュピター(良い木星)とは、太陽系の木星のような巨大ガス惑星で、ハビタブルゾーンを乱さないよう離心率が小さく、恒星から十分遠く離れた、だが内側の地球型惑星を二つの重大な点で"保護"するのに十分な程度に近い軌道を持っている。 一つ目は、内側の惑星の軌道が安定するのを助け、それにより気候を安定させることである。 二つ目は、彗星や小惑星が内部太陽系に入り込み、破壊的な衝突の原因となるのを引き止めることである。 木星の軌道は、地球と太陽の間の距離の5倍ほどのところにあり、他の場所の良い木星も大体この辺りの距離だと予想すべきだろう。 木星の"番人"の役割は、1994年のシューメーカー・レヴィ第9彗星との衝突の時にドラマチックに例証された。 彗星は、木星の重力に捕らわれなければ内部太陽系に入り込んでいたかもしれない。
太陽系の歴史の初期では、木星は逆の役割を果たしていた。 小惑星帯の軌道の乱れを増やし、地球軌道とより多く交差できるようにし、その結果惑星に重要な揮発物質を供給した。 地球はその質量の半分に達するほどの物質や水を、木星(および影響力は劣るが土星)の重力により撒き散らかされたその周囲の氷の天体と、原始の小惑星帯の小天体により供給された。 したがって、巨大ガス惑星は現在も保護機構として役立っているし、かつては居住可能性にとって重要な資源の供給者でもあった。
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銀河の領域
また、科学者は銀河の特定の領域(銀河系のハビタブルゾーン:GHZ)は、他の場所と比べて生命によく適している可能性があるとも考えている。 私達が住む太陽系の存在する、銀河系の縁に位置するオリオン腕は、生命に好意的な場所だと考えられている。
球状星団の中ではない。 過剰な放射線や重力の乱れから、高い恒星密度は生命にとって有害である。 また、球状星団は主に古い金属に欠けた恒星から成り立っている。
活発なガンマ線の供給源が近くにない。
銀河中心の近くではない。 高い恒星密度は電離放射線の見込みも増やす(例えば、マグネターや超新星)。 また、超巨大ブラックホールが銀河の中心に横たわっていると信じられており、これは近くの天体にとって脅威となるかもしれない。
銀河の中心を回る太陽の円軌道は、銀河の螺旋の腕から外れ、猛烈な放射線と重力により崩壊してしまうかもしれない危険から、引き止めている。
したがって、相対的に孤立した恒星であることは、生命を宿す系にとって必要なことである。 もし太陽が他の系と込み合っていれば、生命の機会に致命的なほど近くに危険な放射線源がある可能性も、著しく増加する。 さらに、近隣の恒星はオールトの雲やエッジワース・カイパーベルトのような様々な天体の軌道を乱し、内部太陽系に大災害をもたらすかもしれない。
恒星が集まることは居住可能性にとって不利だと証明されたが、極端な孤立も同じである。 太陽と同じくらい金属に富んだ恒星は、おそらく相対的な金属量の低下や一般的な恒星の形成物の欠乏により、銀河系の最も外側の領域では形成されないだろう。 したがって、太陽系があるような"郊外"の場所が、銀河の中心や最遠よりも望ましい。
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