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考慮すべき点
生命自身による影響
生命の出現を助ける興味深い追加要素として、生命それ自身が形成された後、自分自身が居住可能性の要素となるという考えがある。 地球の有力な例として、古代のシアノバクテリアによる酸素の生産と、その先の光合成植物の登場、それによる地球大気の根本的な変化が挙げられる。 この酸素は、後に動物種の呼吸に重要であることが証明された。
この生命とその後の居住可能性の間の相互作用は、様々な検討をされている。 ガイア仮説(ジェームズ・ラヴロックにより1975年に開拓された地球生命圏の科学的なモデル)では、生命はその存続に都合が良いようにそれ自身が惑星の環境を作るのを助け、適切な状態に育て維持していくと主張している。 最も劇的な考えでは、惑星のシステムはある種の生物のように振舞うともしている。 最も成功している生命は、空気や水、それに土の構成を、その存在の継続をより確実なものとするため変化させる。 この考えは、受け入れられている生態学の法則の延長で、議論を呼んでいる。
生物相により示されたこの見解は、非科学的で検証できないものであると反論されることもある。 しかしながら、より主流の研究者もラヴロックにより含蓄された目的論を必然的に受け入れることなく、関連する結論にたどり着いた。 David Grinspoonは、惑星に既に存在する生命は、私達の居住可能性の構成に関する理解と分けることはできないという"Living Worlds仮説"を提案した。 この説では、地質学的にも気象学的にも生きた惑星は、生物学的にも生きており、惑星とその生命は一緒に発展するだろうとしている。
2004年のギエルモ・ゴンザレスとジェイ・リチャーズの著書The Privileged Planetでは、惑星の居住可能性と宇宙の残りを観測した結果との間の関係を検討している。 地球の生命は"特権的"な立場にあるというこの考えは、哲学的な意味、特にコペルニクス原理に違反することから、議論となっている。
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宇宙生物学
宇宙生物学(うちゅうせいぶつがく、Astrobiology, Exobiology または Xenobiology)とは地球に限らず、広く宇宙全体での生命体について考察し、生物生存の実態や生物現象のより普遍的な仕組み、生命の起源などを明らかにしようとする学問。 しかし、比較的新しい学問なのでその定義ははっきりと確定していない。
2009年現在、地球以外の天体からは生命体は発見されておらず、したがって広義の宇宙生物学は、二つの分野に分けられる。 すなわち、「地球以外の場所の生命に関する問題」と「地球上の生命が宇宙に出た際の問題」である。 狭義の宇宙生物学では後者のみを指す。
前者では、地球外生命体の探査・推測を主に扱い、火星などの太陽系内の天体に関しては探査機を用いて、太陽系外の銀河系に生存しているかもしれない生命、とりわけ、高度な文明社会を持つと考えられている生物に関しては電波によるコミュニケーションを図ろうとしている(参照:地球外知的生命体探査)。 そのほかにもドレイクの方程式や代わりの生化学といった地球外生命体の存在可能性・生体システムの考察がなされている。
後者では、無重力状態や宇宙線などの宇宙環境が人体に与える影響の研究、さらには地球上の動物、植物、細胞に与える影響を扱う。 これらは人類が宇宙に進出してから少しずつではあるが、前者に比べて成果を挙げている。 人体に関する研究は特に、宇宙医学と呼ばれる。
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狭義の宇宙生物学
動物
人間以外の動物の研究は、時間的な問題と長期的な宇宙空間での飼育技術の難しさから現在までの宇宙における動物のデータは限られている。 ただし、動物の行動や発生といった限定的なものはいくつか実験されている。
動物の行動
宇宙空間におかれた動物がどのような行動を取るかは宇宙実験の初期から注目されていた。 動物は宇宙滞在における初期段階には異常な行動をとることが多いが、やがて正常な状態へと移行し、動物には無重力状態に対する適応能力を有することが明らかになりつつある。 たとえば、メダカは宇宙では平衡感覚に異常をきたすため、うまく泳げずに回転遊泳するが、数日後には無重力状態に適応して正常な遊泳が出来るようになる。 また、クモに関しても宇宙滞在初期にはクモの巣をうまく張ることは出来ないが、数十日後には正常に張るようになる。 人間に関しても宇宙酔いという乗り物酔いのような症状がみられるが、30時間から48時間程度で回復に向かう。
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動物の発生
有性生殖を行う動物では、卵子と精子との受精によって個体の発生が始まる。 発生と重力との関係はメダカの胚やカエルの受精卵などを用いて調べられている。 結論から言うと両生類、魚類、無脊椎動物など、哺乳類以外の動物には初期発生に対して無重力状態は大きな影響を与えていないことがわかっている。 メダカにいたっては宇宙ですでに交尾・産卵・孵化が確認されている。 しかし、どの動物も器官の分化には筋肉や骨の形成が遅れるなど、少なからず無重力環境の影響がある。 また、加齢についてのショウジョウバエや線虫を用いた実験があるが、ショウジョウバエはオスの加齢が加速し、メスは加速が認められず、線虫では加齢に影響しないとする実験結果が出ており、加齢や寿命に対する宇宙滞在の影響は統一した結論に達していない。 加齢の加速原因としては宇宙線に含まれるHZE粒子がDNAに与える影響が考えられている。
植物
陸上植物は固着生物として生活していく上での様々な環境ストレスを回避するために、光、水、重力といった環境を感受し、それを利用して自分の姿勢を制御するという仕組みを獲得した。 それゆえ、陸上植物の形態形成は重力と大きく関わっており、植物の種子は無重力、微小重力状態でも扱いやすく、宇宙でも環境をコントロールすれば植物の種子は発芽して育ち、開花や結実も見られる。 とはいえ、宇宙の無重力(微小重力)環境というのは、植物の生育に大きな影響を及ぼし植物生産にも影響することになる。
重力依存的な成長のメカニズムを研究するのに宇宙環境はとても有用であり、その解明は地球における植物の生産力を高めるだけでなく、宇宙で植物栽培をするのにも応用できると考えられる。
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重力に影響される植物の成長と運動
植物の生長や運動、体制維持に深く関係する植物ホルモンのオーキシンの流れは重力感受によって制御される。 オーキシンの動態制御は無重力下の宇宙では機能せず、植物の姿勢制御や形態形成を変化させると考えられるが、重力がオーキシンの動態を制御するメカニズムはまだはっきり分かっていない。
重力屈性
重力屈性とは、根が下に伸びて茎が上に伸びる、というように植物が重力に反応してその伸長方向を変化させることである。 イネとシロイヌナズナを地上で発育させた場合と宇宙で発育させた場合を比較した場合、地球上では明らかに地上部は上に、根は下に伸長している姿が見られるが、宇宙空間での無重力状態では伸長方向が制御されず、中には根が地上部の茎と同じ方向に飛び出して伸びているものも見られた。 根の重力屈性の場合、重力は根の先端の根冠細胞で感受されると考えられる。 根冠の一部のコルメラ細胞では、デンプン粒を含んだアミロプラストが重力によって沈み、これによってオーキシンの流れが変化する。 オーキシンには、地上部の芽や若い葉から根の方に流れ、根の中心部を通って先端へ向かい、Uターンするように根の周辺を通って戻る性質がある。 根を傾けて重力刺激を与えると、オーキシンは上側には行かず下側だけに行こうとするので、傾いた根の下側でオーキシンの濃度が高くなり、下側の成長が上側に比べて相対的に遅くなるために地球上の植物の根は下方向に伸びる。 一方、無重力(微小重力)下では、コルメラ細胞の中でアミロプラストが沈降しないのでオーキシンが局在せず伸長方向の制御が不能になると考えられる。
最近様子がおかしい
セフレ関係も終わりに近いのかもしれない。
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